はじめに
改訂版で解説の親切度がまた少し増した「青チャート」。2018年11月に数学IIIも改訂版になりました。同じ数研出版の教科書とは相性の良い組み合わせです。難関大学の合格者の多くが使用しています。仕上げた人は東大でもこの後の過去問演習で合格点が取れるレベルに到達しています。
完成させたいと思っている人は参考にしてください。
青チャートとは?
青チャートには次のような特徴があります。
- 問題数はレベル別に分類すると多くない
- 同じ数研出版の教科書 (数学シリーズ) の「例」「例題」「応用例題」の解説を理解できれば使用できる。
- 「例題」は覚えるべき解法 (インプット)
- 「練習」は「例題」の理解の確認と反復練習のためのアウトプット
- 「EXERCISES」と「総合演習」は網羅性を高めるためのアウトプット
もし教科書の問題をすべて解ける状態であれば「例題」をアウトプットとして利用することもできます。また同じ数研出版の「4STEP」や「重要問題集」との関係は以下のような感じです。
- 教科書と4STEP が完成していれば青チャートの「例題」を完成させたのと同じ。「練習」や「EXERCISES」からアウトプットを始められる。
- 「重要問題集」は青チャートの「例題」との対応表が公開されている。アウトプットとして過去問演習以外に追加したい場合に使用できる。C問題は赤チャートと★5つと同じレベルで青チャートに含まれていなレベル。
教科書が啓林館や東京書籍の場合は、同じ出版社のフォーカスゴールド (Focus Gold) やニューアクションレジェンド (New Action Legend) の方が相性が良いので、敢えて青チャートに変更する必要はないと思います。
青チャート (改訂版) の構成と内容
使う前に構成や内容を知ると進めやすくなります。
問題の種類と難易度
難易度には「コンパス 1 から 5」と「例題-練習-EXERCRISES-総合演習」の2つの軸があります。コンパスマークは次のように分類されています。
コンパス 1 | 教科書の例レベル |
コンパス 2 | 教科書の例題レベル |
コンパス 3 | 教科書の節末、章末問題レベル |
コンパス 4 | 入試の基本から標準 |
コンパス 5 | 入試の標準からやや難 |
青チャートの問題数が多いのはこのように対応レベルの幅が広いためです。コンパス 3までが教科書レベルで、ここまで終了すれば大学入学共通テストの演習に入れます。
「総合演習」には「コンパスマーク」が付与されていません。
問題の役割
- 「例題」は覚えるべき解法。インプットとして使用。
- 「練習」は「例題」の反復練習の位置付け。アウトプットとして使用。「例題」の理解が正しいかどうかの確認する。
- 「EXERCISES」と「総合演習」は網羅度を上げるためのアウトプットとして使用。
「EXERCISES」には「例題」の解法を複数使用する問題も含まれています。「総合演習」はすべての「EXERCISES」が一度解けるようになってから取り組むようになっています。
「基本事項」と「解説」
各節のはじめにある「基本事項」と「解説」で理解が浅い部分の有無を確認ができます。内容が理解できない場合は、教科書に戻りましょう。
総合演習を含むすべての問題は、各問題に付属している関連情報を辿って基本事項まで戻ることができるので、問題に入る前に「基本事項」が理解できていることが重要です。
教科書の問題との対応表
同じ数研出版の教科書や傍用問題集の問題との対応表がホームページにあります。教科書の問題と照らし合わせて確認することもできます。
問題数
青チャートの問題数は次のようになっています。
種類 | I+A+II+B | I+A+II+B+III |
---|---|---|
例題 | 749 | 1042 |
練習 | 749 | 1042 |
EXERCISES | 503 | 743 |
小計 | 2001 | 2827 |
総合演習 | 121 | 179 |
総合計 | 2122 | 3006 |
レベル別に分かれているマセマ出版の高校学参・大学受験数学シリーズの問題数と比較してみます。
種類 | I+A+II+B | I+A+II+B+III |
---|---|---|
初めから始める | 230 | 351 |
初めから解ける | 281 | 423 |
元気が出る数学 | 278 | 372 |
元気に伸びる数学 | 260 | 375 |
合格!数学 | 247 | 363 |
合格!数学 実力UP!問題集 | 297 | 435 |
小計 | 1593 | 2319 |
難関大 | 79 | 153 |
総合計 | 1652 | 2462 |
青チャートの「例題」+「EXERCISE」とマセマ出版の「初めから解ける」から「合格!数学 実力UP!問題集」までが内容的に同等です。
問題数を比較すると、Bまでは青チャートが1,252問でマセマ出版が1,363問、IIIまでは青チャートが1,785問でマセマ出版が1,968問です。レベル別に分かれた参考書も問題数を合計すれば青チャートと大差はありません。
コンパスマーク別「例題」の割合
教科書の例と例題レベルの問題が50%以上を占め、節末・章末問題レベルを合わせると86%以上になります。受験の数学において教科書レベルがいかに重要かがわかります。まずはコンパス 1 とコンパス 2 の例題を完成させることが最初の目標になります。
種類別「例題」の割合
基本例題で得た解法を応用して重要例題や演習例題を解くという形式になっています。よってコンパス 1と2 の例題の次に到達すべきは、コンパス 3 の基本例題の残りの完成です。
詳しくは、数研出版のチャート式 参考書 例題一覧表を参照してください。
コンパスマーク別「EXERCISES」の割合
例題と異なり、コンパス 3 の問題が一番多くなっています。コンパス 3 以上の問題の網羅性を確保するなら「EXERCISES」も行うのがオススメです。
EXERCISES のすべての問題は例題につながっているので、ここにある問題でアウトプットしながら解けない問題を例題に戻って復習するのが効率の良い方法の一つになります。
使い方 (その1)
教科書の講義内容を理解し、「例」「例題」「応用例題」が解けるようになったら、スパイラル方式を意識して例題から順に完成させていきます。
- 「例題」はいきなり解かずに1周目は読んで理解する。
- 2周目以降は前の周で間違えた問題のみを行う。
まずはインプットとして「基本事項」「解説」「例題」を完成させます。
- 「基本事項」と「解説」を理解する
- 「例題」「補足事項」「参考事項」を読んで理解する
- 「例題」を解く
例題の場合解いているときに手が止まったらまずは「指針」を確認します。それでも解けない場合は解答をみて理解するに切り替えます。
次にアウトプットとしてその他の問題に取り組み、インプットの定着を図ります。
- 「練習」を解く
- 「EXERCISES」を解く
「EXERCISE」まですべての単元が終了したら更なるアウトプットで定着を高めます。
- 「総合演習」
教科書や教科書傍用問題集の完成度によって開始する問題を変えられます。
- 教科書の章末問題まですべての問題が解ける場合は、インプットをコンパス4の例題から始めてアウトプットに入れます。
- 教科書に加えて教科書傍用問題集の問題も解ける場合は、「練習」や「EXERCISES」からアウトプットを開始できます。解けなかった問題は関連情報を辿って例題に戻り解きます。
使い方 (その2)
レベル別に完成させる
途中で問題のレベルの差を越えられず進まなくなっている人は、レベル別に「例題」でインプット、「練習」「EXERCISES」でアウトプットを行って仕上げると良いです。
コンパスマークの問題数の割合は次のようになっています。
- コンパス 1 と 2 (45%)
- コンパス 3 (40%)
- コンパス 4 と 5 (15%)
コンパス 3 まで完成していれば全体の85%が終了し、大学入学共通テストの演習に入ることができます。残りの15%ぐらいの問題でつまずくケースが多いため、まずはコンパス 3までの完成を目指します。
使い方 (その3)
分野別に完成させる
先取りや学校の進度に合わせて進める場合は、その1やその2の使い方を分野別にEXERCISESまで完成させていくのがオススメです。
他の問題集との比較
- 「4STEP」と教科書の問題で青チャートの「例題」は網羅されます。
- 「基礎問題精講」の「例題」の到達点は、青チャートの「基本例題」と同じです。青チャートの「例題」の出発点は「基礎問題精講」より簡単なレベルから始まります。
- 「1対1対応の演習」は、例題がコンパスマーク 3ぐらいのレベルから始まります。演習題の到達点は 「EXERCISES」を完了した場合と同じです。
- 「赤チャート」は、「Check問題」を含めると出発点が「青チャート」より低くなります。到達点は「赤チャート」の方が高くなっています。
- 「フォーカスゴールド」の「マスター編、チャレンジ編のLevel Up」は、青チャートの「例題、練習、EXERCISES」相当です。
- 「ニューアクションレジェンド」の「例題、練習、問題編、Let's Try!」は、青チャートの「例題、練習、EXERCISES」相当です。