はじめに
更新版です。
2023年8月に数学III+Cが発売され新課程版がすべてがそろいました。同じ数研出版の教科書とは相性の良い組み合わせです。すべての問題が解けるようになれば東大でも過去問演習を経て合格点が取れるレベルに到達します。
完成させたいと思っている人は参考にしてください。
青チャートとは?
青チャートには次のような特徴があります。
- 教科書 (数学シリーズ) の例レベルから入試標準レベルまで幅広く網羅
- 問題数はレベル別に分類すると多くない
- 同じ数研出版の教科書-数学シリーズの「例」「例題」「応用例題」の解説を理解できれば始められる。
- 「EXERCISES」と「総合演習」の後は、東大でも過去問に入ることができる。
また同じ数研出版の「4STEP」「サクシード」や「重要問題集」との関係は以下のような感じです。
- 教科書と「4STEP」や「サクシード」の問題がすべて解けるのであれば青チャートの「例題」や「練習」も解ける (対応表)
- 「重要問題集」は青チャートの例題とEXERCISES の中で入試頻出の問題の類題と発展問題 (C) 問題が含まれている (対応表)
教科書が啓林館や東京書籍の場合は、同じ出版社のフォーカスゴールド(Focus Gold) やニューアクションレジェンド(New Action Legend) の方が相性が良いので、敢えて青チャートに変更する必要はないです。
青チャートの構成と内容
使用する前に構成や内容を知ると進めやすくなります。
問題の種類と難易度
難易度には「コンパス 1 から 5 - 総合演習第1部」と「例題/練習 - EXERCRISES - 総合演習第2部」の2つの軸があります。コンパスマークは次のように分類されています。
コンパス 1 | 教科書の例レベル |
コンパス 2 | 教科書の例題レベル |
コンパス 3 | 教科書の節末、章末問題レベル |
コンパス 4 | 入試の基本 - 標準レベル |
コンパス 5 | 入試の標準 - やや難レベル |
青チャートの問題数が多いのはこのように対応レベルの幅が広いためです。コンパス 3までが教科書レベルで、ここまで終了すれば大学入学共通テストの演習に入れます。
「練習」と「総合演習」には「コンパスマーク」が付与されてないですが、「練習」は例題の反復練習でレベルは対応する「例題」と同じです。「総合演習第1部」はすべての例題が一度解けるようになってから、「総合演習第2部」はすべての「EXERCISES」が一度解けるようになってから取り組むようになっています。
問題の役割
- 「例題」は覚えるべき解法。
- 「練習」は「例題」の反復練習。
- 「EXERCISES」は網羅度を高めるための問題
- 「総合演習第1部」は思考力を鍛えるための問題と解説
- 「総合演習第2部」は実践力を高めるための入試の過去問集
「基本事項」と「解説」
各節のはじめにある「基本事項」と「解説」で理解が浅い部分の存在を確認ができます。「解説」が理解できない場合は、教科書に戻りましょう。
総合演習を含むすべての問題は、各問題に付属している関係情報(フィードバック)を遡って基本事項まで戻ることができるので、問題に入る前に「基本事項」で理解を確認をするとよいです。
コラム
知識の確認や整理ができます。また理解を深める内容や発展的な内容は入試では問題として問われます。コラムの内容も理解しておくとよいです。
教科書の問題との対応表
同じ数研出版の教科書や傍用問題集の問題との対応表がホームページにあります。教科書の問題と照らし合わせて確認することもできます。
問題数
青チャートの問題数は次のようになっています。
種類 | I+A+II+B+C | I+A+II+B+C+III |
---|---|---|
例題 | 885 | 1100 |
練習 | 885 | 1100 |
EXERCISES | 584 | 760 |
小計 | 2354 | 2960 |
総合演習 第1部 | 17 | 20 |
総合演習 第2部 | 131 | 171 |
総合計 | 2502 | 3151 |
青チャートの「例題」+「EXERCISE」はマセマ出版の「初めから解ける」から「合格!数学 実力UP!問題集」までと同等です。これらの問題数を比較するとマセマ出版の方が問題数が多くなっています。青チャートの問題数だけが多いわけではなく、数学を得意にするにはこのぐらいの問題量は必要ということです。
「例題」のコンパスマーク別割合
数研出版の教科書「数学シリーズ」の例と例題レベルの問題が50%ぐらいを占め、応用例題、節末・章末問題レベルを合わせると85%ほどになります。まずはコンパス1と2の例題を完成させることを最初の目標としましょう。
「例題」の種類別割合
コンパス3には基本例題、重要例題、演習例題が混ざっています。
基本例題で得た解法を応用して重要例題や演習例題を解くという流れになっているため、もしコンパス3の重要例題や演習例題で行き詰まる場合は、コンパス3の基本例題をまずは完成させましょう。
「EXERCISES」のコンパスマーク別割合
例題と異なり、コンパス 3 の問題が一番多く、その次にコンパス4の問題が多くなっています。コンパス 3 以上の問題の網羅性を確保するなら「EXERCISES」も行うのがオススメです。
完成ノートパック
例題と練習の問題のみが抽出され、解答欄が設けられた書き込み式ノートが別に販売されています。例題のタイトルがヒントになって気になる場合や指針がどうしても目に入って気になる場合、こちらを入手して使用するとよいです。
解答欄に、自身の解答に加え、間違えた問題に対する自身の注意点などの得た知識も書き込むと後ほど復習や確認する場合にも非常に有効に活用できます。
A4サイズです。解説・解答は付属していないため参考書と一緒に購入する必要があります。
使い方 (その1)
典型的な流れとしては、教科書のすべての問題が一度解けるようになった後に使用します。I+A, II+B, C, III ごとに次のように最初のページから順に完成させます。
- 単元の初めに「基本事項」と「解説」で教科書の理解の整理
- 「例題」を解く。不正解なら練習も解く。
- 途中のコラムも素通しない。
この時点では例題を解いている途中で手が止まったらすぐに「指針」を確認し、それでも解けそうにない場合は、すぐに解答を読んで理解するに切り替えましょう。
節末まで到達したら、節末にある次のような問題も取り組みます。
- EXERCISES
巻末まで到達したら、例題で学んだことを振り返りながら思考力を高めます。
- 総合演習 題1部
最後に更なるアウトプットで入試への対応力や実践力を高めます。
- 総合演習 題2部
「例題」をインプットとして使用
教科書の理解がまだ浅いと感じる場合は、次のように「例題」をインプットとして使用することで補完できます。
- 1周目は「基本事項」「解説」「検討」「例題」「コラム」を読んで理解する。
- 2周目から「例題」を実際に解く。不正解ならその下の練習も解く。
- 3周目以降は前の周で不正解の「例題」のみを解く。不正解ならその下の練習も解く。
- すべての「例題」を間違えなくなるまで周回する。
例題を読んで理解する時は、「指針」「検討」に加え解答の右側の注釈も確認しましょう。2周目以降で例題を解くときに手が止まったらまずは「指針」のみを確認して再び解いてみます。それでも手が止まる場合は解答をみて理解するに切り替えます。
使い方 (その2)
レベル別に完成させる
途中で問題のレベルの差を越えられず進まなくなっている人は、レベル別に完成させていくとよいです。「その1」で紹介したEXECERISESまで行う場合は次のような感じになります。
コンパスマークの問題数の割合は次のようになっています。
- コンパス 1 と 2 (45%)
- コンパス 3 (40%)
- コンパス 4 と 5 (15%)
コンパス 3 まで完成していれば全体の85%が終了し、大学入学共通テストの過去問に入ることができます。残りの15%ぐらいの問題でつまずくケースが多いため、まずはコンパス 3までの完成を目指します。コンパス3の中でつまずく場合は、その中の「基本例題」の完成を目指しましょう。
受験年度に利用を開始する場合も、レベル別に行うと範囲の最後まで到達しないというリスクを低減することができます。
単元別に完成させる
先取りや学校の進度に合わせて進める場合は、「その2」の使い方を進度にあわせて単元別にEXERCISESまで完成させます。
使い方 (その3)
白チャートの後に使用する。
青チャートの基本例題までは到達しています。1対1対応の演習などにも入れますが、青チャートが気になるなら重要例題から開始しましょう。問題の解説が理解できない問題のみ、その問題の関連情報で青チャートの基本例題や基本事項に戻って確認してみましょう。
総例題数を比較すると、白チャートの例題と青チャートの重要例題 / 演習例題をあわせた数は、青チャートの総例題数に文系が20題ぐらい、理系が40題ぐらい増えるのみです。
白チャートでは全く語られていない概念などもあります。それぞれ名前がついているので、青チャートの巻末の索引で知らない言葉が該当するページでコラムなども含めて確認すると良いです。
他の問題集との比較
- 「4STEP」や「サクシード」と対応している教科書の問題で青チャートの「例題」は網羅できます。
- 「基礎問題精講」の「例題」の到達点は、青チャートの「基本例題」と同じです。青チャートの「例題」の出発点は「基礎問題精講」より簡単なレベルから始まります。基礎問題精講の数学III+C までの問題数は 473 問 です。
- 「1対1対応の演習」は、例題がコンパスマーク 3ぐらいのレベルから始まります。演習題の到達点は 「EXERCISES」と「総合演習 第1部」が完了した場合と同じです。
- 「赤チャート」は、「Check問題」を含めると出発点が「青チャート」より少し低くなります。到達点は「赤チャート」の方が高くなっています。
- 「フォーカスゴールド」の「マスター編」は、青チャートの「例題、練習、EXERCISES」と「総合演習 第1部」相当です。
- 「ニューアクションレジェンド」の「例題、練習、Let's Try!」は、青チャートの「例題、練習、EXERCISES」相当です。
まとめ
青チャート が完成していれば、東大でも過去問に入ることができます。フォーカスゴールドやニューアクションレジェンドとは役割が被っているので、どれか一つで大丈夫です。
必ず使用すべき内容
例題、コラム、総合問題第1部です。ただこの部分のみでは知識の定着のための演習量が不足します。これら以外の問題も取り組むか、他の問題集で演習量を確保しましょう。
例題のレベル別優先順位は次のとおりです。
- 🧭と🧭🧭の例題
- 🧭🧭🧭 の基本例題
- 重要例題
- 演習例題
例題の下の練習
例題をインプットとして使用するなら理解の確認のためにすべて解いた方がよいです。例題をアウトプットとして使用する場合は、間違えた例題の下の練習を解くと理解の確認ができます。
EXERCISES
重要問題集の中にEXERCISESの問題に対応するものがあることからもわかるように、入試基礎から標準問題の網羅性を高めることができます。志望校の過去問の前に他の問題集を追加する予定がない場合は解くと良いです。
総合演習第2部
志望校の過去問を優先しても大丈夫です。