はじめに
更新版です。
2023年9月の数学IIIの改訂ですべてがそろいました。青チャートの代わりに使用できます。特に教科書が同じ啓林館の場合は、相性が良く他の参考書に変更不要です。すべての問題が解けるようになれば東大でも過去問演習を経て合格点が取れるレベルに到達します。
完成させたいと思っている人は参考にしてください。
フォーカスゴールド (5th Edition) とは?
内容としては黄チャートから赤チャートまでを1つにまとめたような感じの参考書です。
- 問題数はレベル別に分類すると多くない
- 啓林館の教科書の例から入試発展レベルまでを幅広く網羅
- Check!は黄チャートの Check & Check や赤チャートの Check と同じ
- マスター編の到達レベルは青チャートの EXERCISES までと同じ
- チャレンジ編の半分と実戦編は赤チャートの総合演習相当。入試発展問題への対応力を養う
過去問の前に教科書とフォーカスゴールドのみで完了できるように構成されています。
フォーカスゴールドスマートとは?
白チャートから青チャートまでを一つにまとめた感じのものです。「実戦編」はなく、「Level Up」 の問題数もこちらの方が少ないです。それとは引き換えに I+A には中学数学を題材にして高校の数学的思考を学習する部分があり、また全体的に「***」レベルまでの例題数が多くして、解法をより分解しています。違いの概要に関しては、以下の啓林館のページで確認できます。
フォーカスゴールドのマスター編のみを使用する場合、こちらでも到達点は同じです。
フォーカスゴールド (5th Edition) の構成と内容
使用する前に構成や内容を知ると進めやすくなります。
青チャートとの比較
ざっくりと比較すると次のような感じです。
- Check!- <対応なし>
- 例題 - 例題
- 練習 - <対応なし>
- Step Up - EXERCISES
- 章末問題 - EXERCISES, 総合演習第1部
- チャレンジ編 - Level Up - 総合演習第2部
- 実戦編 - <対応なし>
「練習」は反復練習の問題ではなく「類題」で、「例題」が解けるようになったら使用するように指示されています。青チャートの場合は「練習」は反復練習用で、「例題」を間違えたら解答を確認して「練習」でもう一度チャレンジしてみようというように提示されています。チャレンジ編は青チャートの総合演習2部より到達点が高くなっています。青チャートと異なり書店で購入しても背表紙が分離したものを入手できます。
問題の種類と難易度
「練習」を含むマスター編のすべての問題に「*」で次のような4段階の難易度が設定されています。1つの「*」を5分として考えるための時間的な目安としても使用できます。
* | 基本問題 (各章の基本となる問題) |
** | 標準問題 (必ずできるようになっておきたい問題) |
*** | 応用問題 (入試にも対応できる力のつく問題) |
**** | 発展問題 (数学の力をより深めることのできる問題) |
「*」と「**」 はそれぞれ青チャートの「🧭」と「🧭🧭」相当です。「***」と 「****」は青チャートの「🧭🧭🧭」から「🧭🧭🧭🧭🧭」相当です。次の二つの「編」には難易度の表示設定がないです。
- チャレンジ編
- 実戦編
全体の難易度マップは次のような感じです。
問題の種類と役割
「例題」で理解「練習」で定着が提示されています。
マスター編
- 「Check!」公式や計算の確認のための問題
- 「例題」で解き方を理解する
- 「練習」は「例題」の類題で得た知識を定着させる
- 「Step Up」各節のまとめ。その節の知識の定着と応用力を高める
- 「章末問題」各章のまとめ。その章の知識の応用力を高める。それ以前の章との融合問題もあり。
チャレンジ編
- 「Level Up」実際の入試問題で入試対策
問題の半分ぐらいは「マスター編」の「例題」のように「チャレンジ編」の中で詳しく解説されています。残りの問題は別冊の「解答編」の中で解説されています。以前の版では Level Up と演習が分かれていましたが、本版では Level Up の中に統合されました。
実践編
- マスター編の問題を題材にして理解を整理・発展させ難しい問題に対する対応力を養成
主流として提示されているのが「Step Up」の次はチャレンジ編の「Level Up」という流れで、「章末問題」はどちらかというと支流になっていますが、今回「思考力問題」というのが追加されているので、少なくともそこは解いた方が良いです。「実戦編」は「Level Up」まで終わったら使用するように提示されていますが、すべての例題が一度解けるようになったら使用しても大丈夫です。
「まとめ」
教科書の定理や公式がまとめられていますが、解説はないので教科書は必要です。
「コラム」
以前の版より分類が増えて Story、解説、Coffee Break、Column の4種類あります。知識を整理したり、理解を深めたり、別の視点で眺めたりして、知識の幅を広げることができます。
教科書の問題との対応表
次のようなサイトはありますが、現時点ではフォーカスゴールド (5th Edition) の資料はないです。定期的に更新の確認をする必要があります。
問題数
フォーカスゴールド (5th Edition) の問題数は以下のようになっています。
種類 | I+A+II+B+C | I+A+II+B+C+III | |
---|---|---|---|
マスター編 | Check! | 308 | 360 |
例題 | 785 | 1,006 | |
練習 | 785 | 1,006 | |
Step Up | 567 | 750 | |
章末問題 | 133 | 172 | |
小計 (Check! を除く) | 2,270 | 2,934 | |
チャレンジ編 | Level Up | 201 | 260 |
総合計 | 2,779 | 3,554 |
例題の数は青チャートより若干少なくなりましたが、節末や巻末の問題を合わせると、フォーカスゴールの方が多くなっています。
レベル別例題と練習の割合
「**」までの問題が半分ぐらいを占めています。
レベル別 Step Up の問題の割合
ここの「**」まで終了していれば、共通テストの演習に入れます。「***」まで終了していれば、共通テストの過去問や予想問題に直接入れます。
レベル別章末問題の割合
「*」の問題はなく、理系は「****」が40%以上になります。今回の版で追加された「思考問題」は取り組むとよいです。
マスターノート
「練習」と「Step Up問題」の問題部分を掲載した別売りの書き込み式ノートです。「例題」の部分が視界に入るのを避けたい場合は、こちらを別途入手して利用するとよいです。解答欄に、自身の解答に加え、間違えた問題に対する自身の注意点などの得た知識も書き込むと後ほど復習や確認する場合にも非常に有効に活用できます。
フォーカスゴールドと同じ B5 サイズです。解答付属していないため参考書と一緒に購入する必要があります。
使い方 (その1)
典型的な流れとしては、教科書内容を理解して掲載されている問題が解けるようになった後に「まとめ」から順に使用します。
- 単元の初めに「まとめ」で教科書の知識の確認
- 「Check!」を解いて教科書の理解と計算の確認
- 「例題」を解く。正解なら「練習」も解く
- 途中のコラムも素通りしない
この時点では例題を解いている途中で手が止まったらすぐに「考え方」を確認し、それでも解けそうにない場合は、すぐに解答を読んで理解するに切り替えましょう。「練習」は、反復練習というより類題なので、ニューアクションレジェンドの「問題編」のように「例題」が正解したら解きます。
節末まで到達したら、節末にある次のような問題も取り組みます。
- Step Up
章末まで到達したら、章末にある次のような問題にも取り組みます。
- 章末問題
マスター編のすべての問題が一度解けるようになったらチャレンジ編の次の問題で入試への対応力を高めます。
- Level Up
最後に
- 実戦編
で入試の発展問題への対応力を高めます。
「例題」を完全なインプットとして使用
教科書の理解がまだ浅いと感じる場合は、次のように節ごとに「例題」を完全なインプットとして使用することで補完できます。
- 1周目は「まとめ」を読み「Check!」を解く。
- 2周目は「例題」と「コラム」は読んで理解する。
- 3周目は「例題」を解く。正解なら「練習」も解く
- 4周目以降は前の周で不正解の「Check!」「例題」「練習」を解く。
- すべての「Check!」「例題」「練習」を正解するまで周回する。
例題を読んで理解する時は、「考え方」だけではなく解答の右側の注釈や解答の下の「Focus」「One Point Lessen」も確認しましょう。時折出てくるコラム部分も素通りせずに理解すると良いです。3周目以降で「例題」を解くときに手が止まったらまずは「考え方」を確認して再び解いてみます。それでも手が止まる場合は解答をみて理解するに切り替えます。
使い方 (その2)
*マークのレベル別に仕上げる
レベル別に完成させていく方法です。もし「***」や「****」の問題でつまずくケースが多い場合は「*」と「**」までの完成を優先させましょう。
「*」と「**」で含まれている問題の半分は終了です。共通テストの演習にも入れます。共通テストの過去問や予想問題に直接入る場合は「***」まで完成させておくとよいです。
単元別に仕上げる
先取りや学校の進度に合わせて進める場合は、「その2」の使い方で進度にあわせて単元別に完成させます。
まとめ
教科書とフォーカスゴールドが完成していれば、東大でも過去問に入ることができます。青チャートやニューアクションレジェンドとは役割が被っているので、どれか一つで大丈夫です。
必ず使用すべき内容
- マスター編の例題、コラム、章末問題の思考力問題、
- チャレンジ編内の解説のある問題
- 実戦編
です。ただこの部分のみでは演習量が不足します。これ以外の問題も取り組むか、他の問題集で演習量を確保しましょう。
例題の下の練習
例題に1対1で対応した類題です。「例題」が解けるようになったら使用するとよいです。
Step Up と 章末問題
入試基礎から標準問題の網羅性を高めることができます。志望校の過去問の前に他の問題集を追加する予定がない場合は解くと良いです。
チャレンジ編 (Level Up)
別冊の解答編に解説がある問題は、志望校の過去問を優先しても大丈夫です。