はじめに
改訂版になってから評判の良い赤チャート。もしチャート式を新しく購入しようとしている受験生で、難関大を目指すのであれば有力な選択肢の一つです。青チャートをすでに持っている場合は新しく購入する必要はありませんが、新しく青チャートを購入しようとしている場合には赤チャートも検討してみてください。
赤チャートとは?
到達点は青チャートよりもフォーカスゴールドやニューアクションレジェンドに近く、例題数はこの4冊の中では一番多くなっています。より多くの問題を例題に含めて詳しく解説している点がオススメする一つの理由です。
青チャートにはない基本事項の内容を確認する「Check問題」もあり、この点は黄チャートの「Check&Check」に近い内容になっています。
解説の内容は青チャートとかわりませんが、例題の「★★★」と「★★★★」の間のレベルの差が青チャートのコンパス 3 とコンパス 4 の間より少し大きくなっています。この点が難しいと言われる一つになっていると思います。
青チャートと同じように例題は覚えるべき解法です。例題で得た解法が正しく理解できているかを確認するためのアウトプット として「練習」にも是非取り組んでください。
「練習」まで完了していれば過去問で演習に入れます。この時点で参考書をもう1冊追加しようとしているのであれば、まずは章末の「演習問題」と巻末の「総合演習」に取り組むことをお勧めします。
赤チャート (改訂版) の構成と内容
問題の種類と難度
難度には「★ から ★★★★★」と「例題と練習A - 練習B,C,...(類題) - 演習問題 - 総合演習」の2つの軸があります。「★」マークは、
★☆☆☆☆ | (教科書の例レベル) |
★★☆☆☆ | (教科書の例題レベル) |
★★★☆☆ | (教科書の節末・章末レベル) |
★★★★☆ | (入試対策 標準レベル) |
★★★★★ | (入試対策 発展レベル) |
になっています。★★★までが教科書レベルとなっていますが、ここまで終了すれば大学入学共通テストの演習に入れます。青チャートと異なり「入試対策 基礎レベル」が定義されていません。「練習」までは「★」が付与されています。「総合演習 第1部」までは分野別に分類されています。
問題の役割
- 「例題」は覚えるべき解法。インプットとして使用。
- 「練習」は「例題」のアプトプットとして使用。
- 「演習問題」と「総合演習」は完全な演習。「演習問題」はその章のすべての「練習」が完成してから使用。「総合演習」はすべての「演習問題」が完成したら使用。
「練習」には A と B,C,... があり、A 以外は「例題」より少し難しい類題です。
章末の「演習問題」は青チャートの「EXERCISES」とは異なり難易度が付与されておらず完全な演習です。
「総合演習」は「第1部」は分野別になっていますが「第2部」は分野をまたぐ融合問題になっています。共に「指針」があり「問題 (主題)」と「類題 (試練)」とういう「例題」と「練習」に似た形式になっています。またI+A, II+B, IIIの単位で構成されています。
まずは「問題」の方を仕上げましょう。
「基本事項」と「Check問題」
各節のはじめにある「基本事項」で理解が浅い部分の有無を確認ができます。また「Check問題」で「基本事項」の理解度も再確認できます。
各問題には関連する問題への参照情報があります。
教科書の問題との対応表
教科書や傍用問題集の問題との対応表も数研出版のホームページにあります。教科書の問題と照らし合わせて確認することもできます。
問題数 (改訂版)
種類 | I+A+II+B | I+A+II+B+III |
---|---|---|
Check問題 | 134 | 159 |
例題 | 789 | 1109 |
練習 | 911 | 1291 |
小計 | 1700 | 2400 |
演習問題 | 261 | 361 |
総合演習 第1部 | 108 | 144 |
総合演習 第2部 | 72 | 90 |
小計 | 441 | 595 |
総合計 | 2275 | 3154 |
例題の「★」別割合 (改訂版)
次のようになっています。
教科書の節末・章末問題レベルまでの問題が81%以上を占めています。大学入学共通テストや偏差値50以上の大学を目指す場合、この節末・章末問題レベルの演習が非常に重要でこの部分が多いのもオススメの一つです。
例題の種類別割合 (改訂版)
次のようになっています。
まずは例題(青)と例題(赤)の完成を目指します。詳しくは、数研出版のチャート式 参考書 例題一覧表を参照してください。
使い方 (その1)
例題から順に仕上げる
基本的には青チャートと同じです。
- 「例題」はいきなり解かずに1週目は読んで理解する。
- 解いている時に手が止まったらすぐに解答を見て理解するに切り替える。
- 2周目以降は前の周で間違えた問題のみを行う。
まずはインプットとして「基本事項」と「例題」を完成させます。
- 「基本事項」を理解する
- 「例題」や「コラム」を読んで理解する
- 「例題」を解く
「Check問題」は「基本事項」の内容に不安があれば取り組んでください。
「例題」の場合、解いているときに手が止まったら「指針」を確認します。それでも解けない場合は解答をみて理解するに切り替えます。
次にアウトプットとしてその他の問題に取り組み、インプットの定着を図ります。
- 「練習」または「練習A」を解く
- 「練習B」と「練習C」を解く
- 「演習問題」を解く
「演習問題」の場合、解いているときに手が止まったら「ヒント」を確認します。それでも解けない場合は解答をみて理解するに切り替えます。
すべての単元を「演習問題」まで終了したら「総合演習」を使用した更なるアウトプットで定着を高めます。
- 「第1部」の「問題」を解く
- 「第1部」の「類題」を解く
- 「第2部」の「主題」を解く
- 「第2部」の「試練」を解く
「第1部」の「問題」と「第2部」の「主題」の場合、解いているときに手が止まったら「指針」を確認します。それでも解けない場合は解答をみて理解するに切り替えます。
使い方 (その2)
難易度「★」別に完成させる
途中で問題の難度の差を越えられず進まなくなっている人は、難度別に仕上げてみてください。模試でも結果を確認しやすくなります。
★★★ まで完成していれば大学入学共通テストの演習に入ることができます。★★★★ と ★★★★★ は大学入学共通テストの演習の後でも大丈夫です。
使い方 (その3)
分野別に完成させる
先取りや学校の進度に合わせて進める場合は、分野別に「練習」まで完成させます。レベル別と組み合わせると、段階的に特定の分野ごとに完成させることができます。
大学入学共通テスト直前に苦手な分野のみを過去問と合わせて行うというような利用方法も有効です。
まとめ
総合演習まで完了すればどの大学にも対応できる一冊です。
赤チャートが配布されていれば、あえて別の色のチャートを購入する必要はなく、まずは Check問題と「★★★」までの例題と練習で教科書レベルを完了させるのに使用しましょう。青チャートより効率よく仕上がります。
もし赤チャートの後にさらに難しい問題にチャレンジするなら黒チャートという選択肢もあります。