はじめに
更新版です。
2023年11月9日にIII+Cが発売されてすべてがそろいました。今回の改訂ですべてのチャート式の原点としての位置付けが色濃くなりました。もし網羅系の参考書を新しく購入しようとしている受験生で、難関大を目指すのであれば有力な選択肢の一つです。赤チャートが気になるのであれば参考にしてください。
赤チャートとは?
赤チャートには次のような特徴があります。
- 教科書 (数学シリーズ) の例レベルから入試発展レベルまで幅広く網羅
- 問題数はレベル別に分類すると多くない
- 同じ数研出版の教科書「数学シリーズ」の「例」「例題」「応用例題」が解けるのであれば使用できる
- 「総合演習」の後は、東大でも過去問で演習することができる。
教科書の問題が解けるようになる前に使用するのは NG です。できれば教科書レベルの問題集 (教科書傍用問題集の中の教科書レベルの問題など) でしっかり演習して後に使用するとベストです。赤チャートの以前の版との違いは
- 「練習」は完全な反復練習用になり類題はなくなった
- 「青例題」相当が「例」になった
- 「例」の反復練習用の「反復問題」とその解答は、数研出版のホームページより別途ダウンロードが必要
- 「指針」のある例題形式の問題の数は前回より100問ぐらい増えた
- 総問題数は前回より少なくなった
青チャートは、赤チャートを次のようにした感じになっています。
- 到達点を少し下げる
- 「指針」のある問題は110問ぐらい少ない (III+C まで)
- 網羅性は例題に加えて EXERCISES で確保されている
- コラムや総合演習第1部で理解や知識の定着の浅い人をサポート
数研の教科書「数学シリーズ」の問題が全て解けて、教科書傍用問題集で教科書レベル (例 4Step の場合 STEP B まで, サクシードの場合 発展 まで) がしっかり演習できている人は、青チャートの知識や考え方を整理するコラムや総合演習の第1部は必要なかったりします。その代わり例題を増やしてかつ到達点を上げてほしい、そんな要望に応えているのが今回の赤チャートです。
赤チャートの構成と内容
問題の種類と難易度
難易度を表す「★」マークは、次のようになっています。
★☆☆☆☆ | 教科書の例レベルの問題 |
★★☆☆☆ | 教科書の例題レベルの問題 |
★★★☆☆ | 教科書の章末問題レベルの問題 |
★★★★☆ | 入試対策用の標準レベルの問題 |
★★★★★ | 応用的で程度の高い問題 |
「Check問題」は「例」より易しいです。「例」に対応した「反復問題」や「例題」に対応した「練習」には「★」はないですが、対応する「例」や「例題」と同じレベルです。「★★★」「★★★★」「★★★★★」のレベル定義は、レベル間の重複がなく明確になっているため、青チャートより差があります。
反復問題は、数研出版のホームページからダウンロードする形になっています。
問題の役割
- Check問題 - 公式や定理の確認
- 例, 例題, 演習例題, 補充例題 - 習得すべき解法
- 反復問題, 練習 - 反復練習用の問題
- 演習問題, 問題, 類題 - 応用力や網羅性を高めるための問題
「基本事項」
各節のはじめにある「基本事項」で「Check問題」の前に教科書の内容を確認ができます。定理や公式の解説はないので教科書は必要です。
問題数
1冊 1,000 問ぐらいです。
種類 | I+A | II+B | III+C |
---|---|---|---|
Check問題 | 61 | 62 | 32 |
例 | 135 | 101 | 106 |
反復問題 | 135 | 101 | 106 |
例題 | 229 | 262 | 309 |
練習 | 229 | 262 | 309 |
小計 | 728 | 687 | 862 |
演習問題 | 107 | 121 | 125 |
問題 | - | 6 | - |
小計 | 107 | 127 | 125 |
演習例題 | 20 | 24 | 22 |
類題 | 20 | 24 | 22 |
補充例題 | - | - | 11 |
問題 | - | - | 16 |
小計 | 40 | 24 | 71 |
総合計 | 936 | 963 | 1058 |
「例」と「例題」の「★」別割合
巻末にある「演習例題」や「補充例題」には「★」の割り当てがないためこの中には数として含まれていません。
最初に到達すべきは「Check問題」と「★★」までの「例」と「例題」です。ここまでで共通テスト用の演習の問題集に入ることができます。
「例題」の種類別割合
巻末の総合演習にも例題形式でしっかりと「指針」があります。直接共通テストの過去問や予想問題集に入るなら「例」と「例題」までは少なくとも解けるようにしましょう。
使い方 (その1)
典型的な流れとしては、教科書のすべての問題が一度解けるようになった後に使用します。I+A, II+B, C, III ごとに次のように最初のページから順に完成させます。
- 「例」の反復練習用の問題を数研出版のホームページよりダウンロード
- 単元の初めに「基本事項」と「Check問題」で教科書の理解の整理
- 「例」や「例題」を解く。不正解なら練習も解く
- 「例」の反復練習用の問題
- コラムを素通りせずに理解
この時点では「例」や「例題」を解いている途中で手が止まったらすぐに「指針」を確認し、それでも解けそうにない場合は、すぐに解答や側注を読んで理解するに切り替えましょう。
章末まで到達したら、章末にある次のような問題も取り組みます。
- 演習問題、問題
巻末まで到達したら、最後に更なるアウトプットで入試への対応力や実践力を高めます。
- 総合演習
「例題」をインプットとして使用できるか?
赤チャートの場合、あまりオススメではないです。その他のチャート式とは異なり、コラムで知識の整理をする部分がないこともあり、教科書レベルの理解や知識の定着の浅い人は解答・解説が難しいと感じてしまいます。教科書レベルの問題の演習を十分に行なった人がさらにレベルを上げるためのアウトプットとして使用するのに適しています。
使い方 (その2)
途中で問題のレベルの差を越えられず進まなくなっている人は、レベル別に完成させていくとよいです。「その1」で紹介した「総合演習」まで行う場合は次のような感じになります。
★★★ まで完成していれば全体の80%が終了し、大学入学共通テストの過去問に入ることができます。★★★ の中でつまずく場合は、その中の「重要例題」以外の完成をまずは目指しましょう。
単元別に完成させる
先取りや学校の進度に合わせて進める場合は、「その2」の使い方を進度にあわせて単元別に章末の演習題・問題まで完成させます。
まとめ
赤チャート が完成していれば、東大でも過去問に入ることができます。他のチャート式と異なり、使用する前に問題集で教科書レベルの演習を行うとさらに良いです。
必ず使用すべき内容
基本事項, Check 問題, 例, 例題, 演習例題, 補充例題, コラムです。ただこの部分のみでは知識の定着のための演習量が不足します。これら以外の問題も取り組むか、他の問題集で演習量を確保しましょう。
Check 問題, 例と例題のレベル別優先順位は次のとおりです。
- Check 問題
- 例
- ★★★ までの例題
- ★★★ までの重要例題
- ★★★★と★★★★★の例題
- 演習例題, 補充例題
例の反復問題や例題の下の練習
例や例題が不正解の場合、指針、解答、解説を確認後、反復問題や練習を解くと理解の確認ができます。
演習問題、問題、類題
入試基礎から標準問題の網羅性を高めることができます。志望校の過去問の前に他の問題集を追加する予定がない場合は解くと良いです