参考書でDIY

参考書や問題集を使用した大学受験の独学をサポート

数学の学習の流れと参考書 / 問題集の選択

はじめに

<更新版です>

学校で配布される教科書と問題集を使用できれば、定期テストや内申点に対しても有効なので、最大限活用したいところです。市販の参考書や問題集は学校から配布される教材を使用する流れの中でつまずいているところや足りないところを補うために選ぶと効率的です。大きさ、配色やレイアウトなどもやる気と関係してくるため本屋などで実物を見て選んでください。

それぞれの選択肢を紹介します。興味がある人は参考にしてください。

学校配布の書籍と使用のペース

学校配布の書籍として一般的に次のようです。

  1. 教科書
  2. 教科書傍用問題集
  3. 網羅系参考書
  4. 受験用問題集

数研出版の書籍で例えると次のような感じです。数研出版のレベル表はこちら。チャート式と教科書の対応表はこちら

  1. 数学シリーズ
  2. 4STEPまたはサクシード
  3. 黄チャートまたは青チャート
  4. スタンダード (受験用) またはクリアー (受験用)

啓林館の書籍で例えると次のような感じです。フォーカスゴールドと教科書の対応表はこちら

  1. 数学シリーズ
  2. アドバンスドαまたはマスターグレードα
  3. フォーカスゴールドまたはフォーカスゴールド・スマート
  4. 入試必修問題集 実戦シリーズまた 練磨シリーズ

東京書籍で例えると次のような感じです。ニューアクションシリーズと教科書の対応表はこちら

  1. Advanced シリーズ
  2. Hi-PRIME または PRIME
  3. ニューアクション LEGEND または FRONTIER
  4. ニューグローバル TOP または MARCH

学校では次のような感じで、単元別に完成させていきます。教科書傍用問題集は主に教科書の節末・章末問題レベルまでを使用します。

  • 定期テストの範囲
    教科書と教科書傍用問題集
  • 長期休みの宿題
    網羅系参考書の例題と練習

定期テストの範囲としては、早いと高校2年中に、おそくとも高校3年の夏休み前には数学IIICまでの範囲を終了します。これらを使用して、この流れで順調に進んでいる人は特に書籍を変える必要はないです。この流れで終了すれば、東大や東工大でも過去問にも入れます。

また高校3年生の演習の授業では、

  • 受験用問題集

を使用して全範囲を演習します。

教科書と教科書傍用問題集

ここでのゴールは、思考力、判断力および表現力に必要な基礎知識を蓄積することです。はじめに到達したいのは、次のような部分をで公式や定理の使い方を習得することです。

  • 教科書や教科書傍用問題集の解説のある例や例題

次に知識として定着させて素早く引き出せるようにするために次のような部分で十分な演習をします。

  • 教科書や教科書傍用問題集の例や例題以外の問題

公式の導出や定理の証明の理解は、使えるようになった後に学習するとより理解が深まるため、最後に

  • 教科書に載っている公式の導出や定理の証明をマスター

してこのステップは終了です。ここまで終了すれば共通テストの演習に入れます。

教科書傍用問題集の別冊の解答・解説

教科書の問題は「教科書ガイド」を購入すれば解説を入手できますが、教科書傍用問題集では次のようなことが起こっていませんか?

  • 別冊解答が配布されない

別冊解答を必要と感じているなら、教科書傍用問題集の解説のある例題を解けるようになった後に

  • 同じ出版社の網羅系の参考書の例題

を教科書章末問題レベルまでに限定して使用するとよいです。

  • 青チャート、黄チャート: 基本例題
  • フォーカスゴールド、フォーカスゴールドスマート: *, ** の例題
  • ニューアクション LEGEND, FRONTIER: ★, ★★ の例題

網羅系の半分ぐらいの内容が対象です。

教科書や教科書傍用問題集の理解をサポートする一冊

教科書で次のようなことを感じていますか?

  • 教科書の解説が難しい

数研出版は5種類 (詳しくは数研出版のこちら)、啓林館は3種類 (詳しくは啓林館のこちら)、東京書籍は2種類 (詳しくは東京書籍のこちら) の数学IIIとCまである教科書があります。どの教科書も厚さはにそれほど差はなく、どの点により多く紙面を使用しているかが異なります。

使用している教科書が数研出版「数学シリーズ」などのハイエンドなものであれば次の網羅系を使用してみてください。

  • 白チャート

青チャートや黄チャートの難易度表示 🧭 が「数学シリーズ」の教科書をベースにしているのに対して、白チャートの難易度表示はよりベーシックな「新編のシリーズ」を基準としています。同じ数研出版の教科書「数学シリーズ」では文章のみの解説で流されている部分にも白チャートでは例題が用意されているので、理解をサポートしてくれます。

フォーカスゴールドの「Check!」やニューアクション FRONTIER の「Quick Check」レベルの問題も例題としてしっかりと解説されています。また数学 I や A では「Play Back 中学」として中学の知識の確認事項も指示されているので、中学の教科書に戻るべき部分もわかります。

白チャートの到達レベルは、青チャートの教科書章末問題レベルを表す 🧭🧭🧭 までと同等です。

中学の内容の確認

中学の教科書は、まだ手元にありますか?

もし中学の教科書が手元にない場合は、教科書と同等の内容を一般の書店で購入可能な数研出版の「体系数学」シリーズを使用できます。中高一貫校でよく使用されている教科書に別冊の解答を付属したもので、中学と高校の教科書の内容が分野別に並びかえられています。このシリーズの中の次の書籍で中学の内容を確認できます。おなじ数研出版の中学の教科書との対応表はこちらにあります。

  • 体系数学 1 代数編
  • 体系数学 1 幾何編
  • 体系数学 2 代数編
  • 体系数学 2 幾何編

教科書以上の解説が必要で、一冊で完成させたい場合は、次のようなものもあります。

  • 語りかける中学数学

先取りする

教科書がまだ配布されていない、でも教科書が欲しい、そんな場合も続けて「体系数学」シリーズを利用できます。

  • 体系数学 3 数式・関数編
  • 体系数学 3 論理・確率編
  • 体系数学 4
  • 体系数学 5

例や例題の解説は、同じ数研出版の教科書「数学シリーズ」と同じで、問題に対する別冊の解答も付属しています。節末や章末の問題が少しやさしくなっているのと、「研究」「発展」「COLUMN」などは省略されていますが、これらは青チャートなどの網羅系参考書で問題やコラムとして掲載されているので、この時点を気にする必要はないです。

公式や定理などの講義部分と解説のある問題を使用して全体を理解しましょう。

一冊でしっかり演習しながら進めるなら、白チャートを利用できます。

  • 数学 I+A
  • 数学 II+B+C(ベクトル)
  • 数学 III+C (複素数平面,式と曲線)

ここまでのまとめ

教科書や教科書傍用問題集の解説のない問題の代わりに使用するなら、教科書と同じ出版社の次のような網羅系参考書の教科書節末・章末レベルまでの例題を使用しましょう。

  • 青チャート, 黄チャート (数研出版)
  • フォーカス・ゴールド, フォーカスゴールド・スマート (啓林館)
  • ニューアクション LEGEND, FRONTIER (東京書籍)

もし上記の網羅系で苦戦する場合は、次のような参考書を使用して教科書節末・章末レベル (入試基礎レベル) までをしっかりと固めましょう。

  • 白チャート

白チャートは先取りの初手としても利用できます。中学校の内容の復習には、

  • 語りかける中学数学

を利用できます。

2. 網羅系参考書

定期テストまでに教科書と教科書傍用問題集の問題が一度解けるようになった単元に対して、長期休みに網羅系参考書の例題を解説の詳しい演習問題として使用します。ここでのゴールはその例題を使用して

  • 問題で与えられる条件に対して解法の流れの整理
  • 入試標準レベルの問題への到達

です。教科書と同じ出版社の対応しているものを使用すると相性が良いです。教科書と教科書傍用問題集の問題やコラムの内容も例題で網羅されています。

  • 数研出版 青チャートの対応表はこちら
  • 啓林舘 フォーカス・ゴールドの対応表はこちら
  • 東京書籍 ニューアクション LEGEND の対応表はこちら

例題以外の問題

少なくとも間違えた例題のすぐ下の練習は理解の確認のために行いましょう。もし例題と練習のみで使用を終えるなら次に紹介する「1対1対応の演習」を追加するとよいです。

1対1対応の演習

網羅系参考書を例題とその下の練習問題で終了する場合、入試標準問題への対応が不足します。そんな時に1対1対応の演習の演習題で演習量を補完できます。

教科書と教科書傍用問題集のすべての例や例題、または白チャートのすべての例題が解けるようになっていれば入れます。その他の網羅系参考書の例題がすべて解けるのであれば、サクサク進められます。

網羅系参考書で紹介されている教科書節末・章末レベル (入試基礎問題) の問題を例題として掲載しています。解けた問題でも解答・解説を読んで、自身の解き方との違いなどを確認しましょう。解説はより難しい入試標準問題を解くための知識として使用できるようになっています。

受験用問題集で同じ東京出版の「新数学スタンダード演習」や「数学IIIスタンダード演習」を使用する前の準備としても良いです。この二冊の解説は 1対1対応の演習の例題の内容を理解していることを前提としているからです。

ここまでのまとめ

網羅系の参考書を例題とその下の練習で使用を終わらせるなら、

  • 1対1対応の演習

を追加して、入試標準問題への対応を補完するとよいです。

ここまでが高校3年生になる前に終了していると非常に順調です。高校3年生の夏休み前に数学III+Cが終了しない場合は、自身で終了させるとよいです。

3. 受験用問題集

主に高校3年生の演習の授業で使用します。

学校配布のものは広範囲なレベルに対応するものも多く、授業では問題を取捨選択して使用します。ここからはレベル別に書籍を選んでレベルごとに全範囲を完成させながら、受験日にピークのレベルに到達できるような選び方がよいです。

  1. 教科書の確認
  2. 入試基礎 (教科書節末・章末問題) レベル
  3. 入試標準レベル
  4. 難関大 頻出問題対策
  5. 志望大学過去問
  6. 入試発展レベル (理系のみ)

ここで使用する書籍は、 I + A + II + B + C や III + C がそれぞれ一冊にまとまっているものがおすすめです。

教科書の確認

ここはオプションです。

今まで教科書の解説のある問題のみしか解いていないのであれば、公式や定理の定着が浅い可能性が高いです。計算問題集で全範囲を確認しましょう。書籍の例としては次のようなものがあります。

  • 合格る計算 数学 I・A・II・B [ベクトル]・C [ベクトル]
  • 合格る確率+場合の数
  • 合格る計算 数学 III・C [複素数平面・2次曲線]

入試基礎 (教科書節末・章末問題) レベル

ここもオプションです。

教科書の節末・章末レベルの問題を解いていなければ、このレベルの演習を行いましょう。ここが終了すれば河合のマークや記述で偏差値 60に到達でき、共通テストの過去問にも入れます。

レベルを入試基礎に絞った書籍の例としては次のようなものがあります。

  • 東京出版 3月増刊 入試数学の基礎徹底

使い方のコツは、全18章の「XXXの整理」の例題 151題と「XXXの演習」の問題 254題を解くところから始めることです。間違っても最初から「XXXの整理」の内容をすべて理解しようとしてはいけません。「本書の利用方法」に記載がある通り節番号に#がついているものは教科書では載っていないことが多い発展的な内容です。よりハイレベル問題を解くと理解できてくる部分もあり、この時点で理解できなくても大丈夫です。

理系用の数学 III+C は次のように別の冊子で用意されています。

  • 東京出版 数学 IIIC の入試基礎 / 講義と演習

こちらは「講義編」と「演習編」の二部構成です。講義編は月刊「大学への数学」の連載をまとめたものに2つの章を追加しています。「講義編」の内容には「入試数学の基礎徹底」の時のような注意点はないです。分野ごとに講義編と演習編を行き来するとよいです。演習編は149問です。

もし「入試数学の基礎徹底」の解説が難しいと感じるなら I+A+II+B+C の範囲を次のようなもので問題数を限定し入試基礎レベルに慣れるところから始めてみましょう。

  • 河合出版 文系の数学 重要事項完全習得編

「文系」と書かれていますが、範囲が文系に限定されているだけで、理系も使用できます。

入試標準レベル

教科書傍用問題集や網羅系参考書が終わっていれば、ここから始められます。

このレベルが当たり前になると高校3年の河合の記述模試で偏差値70に届きます。高校3年の4月から開始できると理想的です。難関国公立や早慶はこの入試標準問題レベルが確実に解けるようにならないと厳しいです。

レベルを入試標準問題に絞り、演習量を確保できる次のような問題集があります。

  • 東京出版 4月増刊 「新数学スタンダード演習」
  • 東京出版 5月増刊 「数学IIIスタンダード演習」

書いてある用語などがわからない場合は、同じ分野の「1対1対応の演習」の例題で確認できます。

3月末にその年のものが発売されます。ベクトルも含まれています。複素数平面はIIICの方に含まれています。1対1対応の演習の演習題が解けるのであれば、50%ぐらいは解けます。

2024年版は 148問です。

4月末にその年のものが発売されます。こちらにも少しベクトルがあります。1対1対応の演習の演習題が解けるのであれば、50%ぐらいは解けます。

難関大頻出問題対策

年度別の過去問に入る前に、確実に解くべき頻出の問題に触れておくと良いです。

過去問の中から正答すべき問題を抽出し分野別にならべた次のようなシリーズの中に自身の志望大学がある場合はこの時点で使用して演習しましょう。合格点が取れるようになります。

  • 教学社 難関校過去問シリーズ
  • 東京出版 東大数学で1点でも多く取る方法
  • KADOKAWA 世界一わかりやすいシリーズ

過去に出題された問題が分野別に分類されています。

こちらも過去に出題された問題が分野別に分類されています。部分点を確実に取りに行くための参考書です。文系には特におすすめです。理系編は現在販売されていないです。

その他の大学

次のような解答・解説にアプローチ方法がしっかりと書かれているものを選び、難関大での頻出の問題への対応を強化しましょう。

  • 真・解法への道!/ 数学 IAIIBC (ベクトル)
  • 真・解法への道!/ 数学 IIIC (平面上の曲線,複素数平面)
  • 駿台文庫 ハイレベル数学 I・A・II・B・C の完全攻略
  • 駿台文庫 ハイレベル数学 III の完全攻略

解答・解説中にある例も行いましょう。

解答・解説中にある例も行いましょう。

過去問

教学社のものが一般的ですが、東大や京大を志望する人は次のようなものもあります。解説が非常に詳しく、別解も豊富です。少し価格が高く、大きさはB5サイズで重いです。

  • 鉄緑会 東大数学問題集
  • 鉄緑会 京大数学問題集

九大が志望の人にはこちらの選択肢もあります。

  • KADOKAWA 世界一わかりやすい九大の数学

入試発展レベル

理系向けです。高校3年の河合の記述模試の数学III型で安定して偏差値 70 を超え80に近づきます。東大や東工大以外で、早慶を併願する場合にも有効です。

レベルを発展問題以上に絞った問題集して次のようなものがあります。

  • 東京出版 9月増刊 新数学演習

8月末に販売が開始されます。新数学スタンダード演習と数学IIIスタンダード演習の問題が解けるようになっていれば、半分くらいは解けます。

入試形式が記述の場合は、このあとは次のような論証力を確認する問題集を追加しましょう。

分野別の克服・強化

次のような問題集を使って苦手分野の見直しと強化ができます。

  • 旺文社 数学 整数 分野別標準問題精講
  • 旺文社 数学 場合の数・確率 分野別標準問題精講
  • 旺文社 数学 軌跡・領域 分野別標準問題精講
  • 東京出版 微積分基礎の極意
  • 東京出版 マスター・オブ・整数

数学IIIの内容です。微積分の問題の解き方が網羅されています。

整数はこれ一冊で終了できます。

共通テスト対策

センター試験の場合、基礎的な学力の確認だったために過去問を10年分ぐらい解くと教科書章末問題のレベルまでの確認も併せて確認できたのお得でしたが、共通テストの場合は応用的なところにも主眼を置いているので次のような問題集で形式と時間配分に慣れるために使用します。

  • 11月後半の河合塾と12月前半の駿台のプレテスト
  • 共通テストの過去問
  • Z会 実践模試 / 予想パック

形式と時間配分になれたら二次の対策で応用力を養った方が点数は安定します。

まとめ

市販の参考書や問題集を使用するする場合の過去問までの各ゴールとその基準は次のような感じになります。

  1. 教科書の内容を当たり前にする
    例) 「白チャート」の例題を秒殺できる。
  2. 高校3年になる前に全単元を終わらせる
    例) 「白チャート」の例題以外の問題も解ける
  3. 入試基礎と入試標準対策
    例)「1対1対応の演習」の例題と演習題がすべて解ける
  4. 入試標準レベルの典型問題を当たり前にする
    例) 「新数学スタンダード演習」や
    「数学IIIスタンダード演習」の問題を秒殺できる。

このあと難関大頻出問題対策します。ここは志望大学によって使用する書籍が大きく異なるところです。「難関校過去問シリーズ」「東大数学で1点でも多く取る方法」「世界一わかりやすいシリーズ」に自身の志望大学がない場合は、次のようなものがあります。

  • 例) 文系 -「真・解法への道!/ 数学 IAIIBC」や
    「真・解法への道!/ 数学 IIIC」
  • 例) 理系 -「ハイレベル数学 I・A・II・B・C の完全攻略」や
    「ハイレベル数学 III の完全攻略」

この時点で東大の理系や東工大でも一度

  • 志望大学の過去問

を行いましょう。文系はここまでで終了です。理系は加えて

  • 発展問題
    例) 「新数学演習」
  • 論証力
    例) 「解法の突破口」

に取り組んで終了です。