はじめに
教科書準拠の問題集を含めた一つの典型的な流れとしては次のようなものがあります。
- 教科書 (数研出版)
- リードα 物理基礎・物理 (数研出版)
- 物理の重要問題集 (数研出版)
- 難問題の系統とその解き方 (ニュートンプレス)
- 過去問
さまざまな面でこれらの問題集が合わない場合、代わりの参考書や問題集はいろいろあります。自分の合うものを本屋などで見て選んでください。
1. 教科書
教科書を理解する。これが最初の第一歩です。
「物理現象を数式で表すとこうなる」という部分をしっかりマスターしましょう。数学の場合は数式が土台として一番下にありますが、物理の場合は数式の下に物理現象が存在しています。問題と公式の関係だけで覚えると危険です。数学Iの三角関数と数学Bのベクトルを先に理解しておくとスムーズに進みます。
高校の教科書を読んでもわからない場合は、わかりやすい高校の参考書より一度中学理科第1分野 (物理)の内容に戻る方が効果的です。その次は物理基礎の部分の理解に進み、最後に物理の範囲の理解に移りましょう。
教科書を持っていない場合
次で紹介する「秘伝の物理」や「面白いほどわかる本」を使用してみてください。「秘伝の物理」は YouTube のビデオ解説もあります。もし一度物理を学習している場合は「物理教室」もお勧めです。
2. リードα 物理基礎・物理
教科書が数研出版の場合は、同じ出版社のリードαを教科書準拠問題集として使用している場合が多いと思います。教科書の出版社のものが相性がよいです。物理現象と公式を暗記するためのアウトプットと公式の利用を演習するインプットとして使用できます。全体または部分的に置き換える場合の選択肢の例を紹介します。
教科書が啓林館の場合
- センサー総合物理
リードαとカバー範囲は同じです。
リード A (学習事項の整理) と リード B (基礎CHECK)
次のような参考書で置き換えられます。
- 秘伝の物理講義
- 物理基礎・物理が面白いほどわかる本
- 物理教室
見た目は分厚いですが、中は2つに分かれています。読んで理解をする人向けの冊子と講義を聞いて理解する人向けの冊子です。講義はYouTubeで公開されていて各単元の始めのページにバーコードが付属しています。使いやす方を選択できます。また講義用の冊子は後で知識を確認するためのまとめノートの位置付けとしても利用できるようになっています。
また後ほど紹介する「秘伝の物理問題集」の問題への参照も紹介されています。
先生と生徒の会話形式で進めるカジュアルな参考書を好むのであれば、この「面白いほどわかる本」ですかね。
教科書と物理のエッセンスを一つにした感じのものです。数学と物理を一度学習し終えた浪人生が復習のためによく利用しています。
リード C (基本例題 / 基本問題)
置き換えるなら次のような参考書があります。
- 秘伝の物理問題集 (189問)
- 物理 明快解法講座
- 物理のエッセンス (184問 + 168問) / 良問の風 (148問)
- 入門問題精講 (117問) / 基礎問題精講 (105問 + 44問)
「秘伝の物理講義」と一緒に利用すると良いです。相互に参照できるようになっています。この後は「秘伝の物理問題集High」です。
問題数が一番少ないのでもし短期間に仕上げて過去もに入りたいという人にはおすすめです。この後は「物理最強の99題」です。
「物理のエッセンスは」は教科書を置き換えるものではなく補完するものです。必ず教科書と共に利用しましょう。この後は「名問の森」です。もし「名問の森」の解説が難しいと感じるなら次の「良問の風」を挟みましょう。
「物理のエッセンス」の後にさらに演習を積みたい人には得には「良問の風」はおすすめです。この後は「名問の森」です。
教科書と併用するのであれば、こちらも選択肢としてはおすすめです。問題を正解しても必ず解説や精講は読んで理解するようにしましょう。
3. 物理の重要問題集
アウトプット用です。いろいろな形式の問題が入り混じっているため、インプット用に利用するには効率が悪いです。このあとはどの大学でも過去問演習に入れます。解説やレイアウトが合わない場合は次のような問題集もあります。
- 物理の良問問題集
- Toitemi 入試必修問題集 高校物理 (基本問題, 標準問題)
重要問題集より問題数が多いですが、レベルは下の方から始まっています。著者は「物理 標準問題精講」と同じ中川先生です。
「基本問題」「標準問題」が該当します。
このレベルのインプット教材
リードαやセンサーを使用した場合、上の方のレベルの問題は含まれていません。重要問題集や良問問題集の前にこのレベルのインプットを行いたい場合は次のようなものがあります。
- 秘伝の物理問題集High (100問)
- 最強の99題
- 名問の森 (73問 + 67問)
セミナーとエクセルの場合はインプットとしてはこの辺りまで含んでいるため、このレベルのインプットはオプションです。
難問題の系統とその解き方
東大や東工大で高得点を狙うのであれば使用してください。次のような問題集でも大丈夫です。
- 標準問題精講 物理
- Toitemi 入試必修問題集 高校物理 (分析練習)
著者は「物理の良問問題集」と同じ中川先生です。
「分析練習」が該当します。
微分物理
受験のためにマスターすることは必須ではありません。もし時間があれば物理の理解を高めるために読むのはいいかなと思います。ただし数学Bのベクトルと数学IIIの微分の応用/積分の応用を学習したあとに取り組むことをお勧めします。
- 秘伝の微分物理
- 新物理入門
- 理論物理への道標 上 / 下
新物理入門はほぼ講義ですが、理論物理への道標は前半講義で後半は問題演習です。
まとめ
教科書の次に問題演習を中心に行うルートを次のようだとすると、
- リードα (数研) → 重要問題集 (数研) → 難問題の系統とその解き方 (ニュートンプレス)
- センサー物理総合 (啓林館) → 良問問題集 (旺文社) → 標準問題精講 (旺文社)
教科書の次にインプットを手厚く行う浜島先生 + 中川先生ルート
- インプット
物理のエッセンス → 良問の風 → 名問の森 - アウトプット
良問問題集 → 標準問題精講
教科書なしでインプットし、過去問のアウトプットに直接つなげる青山先生ルートや漆原先生ルート
- 秘伝の物理 講義 → 秘伝の物理 問題集 → 秘伝の物理 問題集High
- 物理基礎・物理が面白いほどわかる本 → 明快解法講座 → 最強の99題
のような感じでしょうか。それぞれ志望大学の過去問演習は別途必要です。もし教科書準拠問題集や重要問題集が合わないと感じている場合は変えてみるのもありかなと思います。