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音と英文から始める英語学習

はじめに

< 更新版 >

いくつかの参考書が新しくなっていたので更新しました。

ここで紹介している内容は、単語の暗記から始め、英文解釈、英文読解、最後にリスニングという流れとは少し異なり、発音のルールと単語を並べるルールを確認したらすぐにリスニングで英文に入る方法です。もし単語帳を使用した初期の単純暗記でつまずいている場合はこちらの方が合っているかもしれません。

この流れに興味がある人は参考にしてください。

1. 英文に入る前に

次のことを確認しておきましょう。

  • 発音記号
  • 単語の発音のルール
  • 型を語順で理解する
  • 文の発音のルール

カタカナ読みやローマ字読みで変な癖がつくとやっかいです。「発音のルール」を音声で事前に理解しておきましょう。また「型を語順で理解する」は速読するために必要です。中学基礎レベルの単語の文で事前に慣れておきましょう。

発音記号

発音記号には、IPA式やJones式など複数の形式がありますが、英語の発音に必要な記号は45種類です。わかりやすさを追求するために母音の a, u, o をカタカナですべて「ア」と書いてある場合がありますが、実際には日本語の「ア」の発音とはすべて異なります。手持ちの単語帳 (DataBase 3300 など) で発音記号の音を確認をしておきましょう。次のようなホームページでも確認することもできます。

単語の発音のルール

発音記号の45種類に対して、アルファベットの文字は26種類しかなく、1 対 1 に対応しているわけではないです。文字やその並びと音を結びつけるルールであるフォニックスを通して発音の練習をしましょう。

発音の中のいろいろな疑問も解消できます。例えば、「raise」という単語の「ra」がなぜ「ゥラ」ではなく「ゥレイ」になるのか、発音記号の ə はいろいろな音に聞こえるのかなどです。

書籍の例としては次のようなものがあります。

100 のパターンが紹介されています。「フォニックスサイズ」の単語の音声を真似て実際に発音して確認しましょう。この時点では英文は気にすることなく単語のみでも大丈夫です。音声は2時間59分ですが、単語のみを利用する場合はその半分ぐらいで再生を終了できます。

型を語順で理解する

例えば「I go to school」を「私は学校に通う」と日本語の語順に変えてから理解するのではなく「私は」「通う」「学校に」のままで内容を理解することです。

学校で配布される「総合英語」の中の音声のある例文を

  • 音声の速さで理解

できるようにしましょう。「総合英語」の例文は中学基礎の単語で構成されているので語彙の負担は少なく、併せて高校の英文法・語法の型も一通り学習できます。購入する場合の書籍の例としては次のようなものがあります。

音声のある例文は356題 (全815文) あります。FACTBOOK の使いやすさは次のようです。

  • 例文集がダウンロードできる
  • 各例文の解説は映像でも確認できる。
  • 英語のみの音声が入手できる。
  • 一つの例文が一つの音声ファイルになっている。

暗唱例文集向けの音声の連続再生時間は、1 時間 29 分で終了します。

文の発音のルール

文は一定のリズムで読まれ、文の中の単語の発音の強弱によってそのリズムを保ちます。また文中の隣り合う単語の最後と最初のアルファベットがお互いに影響をうけて音が変化します。次の書籍の「5. 英語例文」と「6. 音の変化」の音声を使用すると、中学レベルの初歩的な英単語で練習できます。実際に真似て発音してみましょう。

39日と書いてありますが「5. 英語例文」の音声は15分で、「6. 音の変化」の音声は13分で再生終了します。

2. 英文の使い方

「英文に入る前に」で準備ができたら、英文に入れます。各英文は音声のみで次のことができるようになるとよいです。

  • 音声の速さで内容を理解
  • すべての単語を細部まで認識

音声を聴くときは、前置詞、冠詞、代名詞から動詞の三単現の s まですべての単語とその形を細部まで注意して聴きましょう。聴き取りづらいところは、

  • オーバラッピング

をしてみるとよいです。細部まで認識できているかどうかの確認には

  • ディクテーション

が最適です。

また、ひとつの英文を完璧にしてから次の英文に移るのではなく、次のように一冊を周回しながらゴールに近づけていくほうが語彙が定着します。

  • 1周目: 音声にあわせて英文を目で追いながら理解
  • 2周目: 音声のみで理解
  • 3周目: ディクテーションで型や単語の認識を確認

3. 英文の選び方

英文の単語の意味を日本語訳のページから見つけやすい (太字, 番号, 色などで強調) ものを選びましょう。

中学英語の英文から始める

今まで返り読みしていた場合は「速読英単語 中学版」の英文から始めましょう。中学一年生の教科書の最初の英文レベルから始まります。

全 60 話の音声をすべてを聴いても 1 時間 4 分で終了します。

各英文に「ここをCheck!」でその文で確認すべき英文法の説明もあります。また巻末の「不規則動詞の例」で動詞の変形も確認できます。

三冊で完成する高校英語

中学の英文がすでに返り読みすることなく語順で理解できていれば、ここから開始できます。

速読英単語の natural スピードは、入試に必要な読む速さのペースメーカーとして最適です。「速読英単語 入門編」の英文で natural の速さに慣れるところから始め、速読英熟語の英文が High の速さで理解できるようになれば終了です。共通テストのリーディングとリスニングに必要な速さを身につけることができ、語彙も 5,000 語を網羅できます。ここをディクテーションすると作文も非常に楽になります。

  • 速読英単語 入門編 (Natural)
  • 速読英単語 必修編 (Natural)
  • 速読英熟語 (High)

全68話の英文を natural の速さで連続再生してかかる時間は合計 42 分です。イギリス英語の発音の音源もあります。

巻末に切り離し可能な「英文解説」が付属しています。これらも活用して英文の日本語訳もしっかり確認しましょう。最後に「ここで差がつく基本語」の例文を日本語から英語にできるようにするとよいです。

全71話の英文を natural の速さで連続再生してかかる時間は合計 1 時間 12 分です。

必修編も巻末に切り離し可能な「英文解説」が付属していますが、次のような必修編のの英文を使用している別売りの精読問題集があり、付属の「英文解説」より詳しい英文の解説があります。

巻末に切り離し可能な「英文解説」という冊子でも英文の構造がわからない場合には入手するとよいです。

全74話の英文をHighの速さで連続再生してかかる時間は合計 1時間51分です。

速読英熟語にも巻末に切り離し可能な「英文解説」が付属しています。必修編の単語で見出し語以外のものもたっぷりと英文に入っているため、必修編のあとの方が使いやすいです。

共通テストのための日常会話表現

日常会話の表現を追加するとよいです。ここまでと過去問で9割以上の得点を目指せます。

  • 速読・速聴 Daily 1500

全 123 話の連続再生時間は1時間54分です。

メール、会話、webサイト、広告、記事などの多様なスタイルの英文がバランスよく掲載されています。

国公立二次、難関私立の英語表現

国公立ニ次や難関私大の長文で遭遇する抽象的な日本語に対する英語表現の対策をしましょう。次のような書籍が利用できます。

  • 基礎英文問題精講 4訂版

2021年2月に改定されて英文がすべて置き換えられています。必ず4訂版を使用しましょう。

音声の連続再生時間は 1時間34分です。

文の下に単語の意味が掲載されているので別途調べる必要がないところがよいです。また最初の「文法編」で問題文を読むために必要な英文法の確認もできます。問題文は、構文編 (例題50, 練習50)、文脈編(例題20, 練習20)、応用問題編(問題20) と量的にも非常に充実しています。

例題に加え練習の音声もダウンロードできます。

国公立二次、難関私立の語彙とテーマ

英語表現の次は、過去問に入る前に語彙力とテーマ力を向上させましょう。下に行くほど単語の難易度があがります。次の 3 つで単語は 7,500 語レベルまで到達します。

  • 「速読速聴・英単語 Core1900」
  • 「速読英単語 上級編」
  • 「英検準1級 文で覚える単熟語」

次の 3 つを追加すると単語も 10,000 語レベルまで到達します。

  • 「無敵の難単語 PINNACLE 420」
  • 「英検1級 文で覚える単熟語」
  • 「速読速聴・英単語 Advanced1100」

全 95 話の英文の連続再生時間は 1 時間 58 分です。

速読英単語の必修編と上級編の間に行うとちょうど良いレベルになっています。

全48話の連続再生時間は 1 時間 8 分です。

見出し語は速読英単語の必修編と重複はなく、音声のスピードは必修編の Natural より若干遅めです。接頭辞や接尾辞で推測する問題もあわせて使用するとよいです。

全 160 話で連続再生時間は4時間38分です。

指定されたアプリで1.1倍のスピードにすると速読英単語の Natural の速さと同じぐらいになります。イギリス英語とアメリカ英語の発音が混ざっているので、共通テストのリスニングの対策にも適しています。

420 の例文の音声の連続再生時間は 1 時間 38 分です。

単語の例文を使用してください。例文の中には同じ単語や関連語が繰り返し登場してくるので知識の定着に役立ちます。英文に含まれている他の単語の難易度もこの時点で行うのにちょうどよい難易度です。付属の別冊の問題集で定着度さらに高めることができます。

全158話で4時間18分です。

準1級のものと指定されたアプリで1.1倍のスピードにすると速読英単語の Natural の速さと同じぐらいになります。イギリス英語とアメリカ英語の発音が混ざっています。

全110話で4時間4分す。

CORE と Advanced の間は単語レベルに大きな差があり、間に「文で覚える単熟語」の準1級と1級をその間に入れるとちょうどいい感じになります。

4. 作文に入る前に

英語表現を問題集で確認しましょう。書籍の例としては次のようなものがあります。

  • 飛躍のフレーズ IDIOMATIC 300

200 問の空欄補充問題と 100 問の整序問題があります。問題文の音声もダウンロードできるので一度すべて正解するようになったら、隙間時間のメンテナンスとして音声も利用できます。

5. 作文のコツ

英作文では以下の3つの点で採点されるので、これらを対策します。

  • 文法・語法
  • 英語表現
  • 文章の構成 (自由英作文)

和文英訳

日本文を単純に英単語で置き換えても正しい英文にはならないことが多いです。文法・語法および英訳するときに注意すべき表現を学習しましょう。書籍の例としては次のようなものがあります。

文法・語法・表現のポイントが100の英文に凝縮されています。はじめに下線部訂正や並び替えなどの100 題で文法・語法の間違えやすいところを確認します。次に同じ英文を表現の機能ごとに分類し、伝える表現の部分を部分的に和文英訳します。最後に同じ 100  文を全体を和文英訳するという、同じ英文を三回活用して定着させるようになっています。

自由英作文

文章を構成する型と、文と文をつなぐ副詞や接続詞についても学習しましょう。書籍の例としては次のようなものがあります。

文法・表現・論理展開のポイントが20のモデル英文に凝縮されています。

6. 網羅性の確認

比喩表現やことわざ

少し出会っていますが、気になりますよね。比喩表現、ことわざなどを確認しましょう。

  • 英熟語 最前線 1515

音声の連続再生時間は 4時間49分です。

「Part 6」と「Part 7」で確認できます。それ以外の熟語も体系的に確認できるので、熟語の網羅性の確認にも利用できます。

文法・語法

英文のみで進めていると感覚的に判断している文法・語法の部分がどうしても出てきます。最後に総合英語と文法・語法の問題集を使用して定義と結びつけておきましょう。 両方とも学校で配布されたもので大丈夫です。問題集は、文法・語法の部分が700 問以上の問題数で整序、空欄補充、正誤、作文などさまざまな角度から確認できるものがよいです

具体的には単元ごとに

  • 「総合英語」で理解
  • 「文法・語法の問題集」で演習

です。もし購入するなら、書籍の例としては次のようなものがあります。

  • 総合英語 FACTBOOK
  • スクランブル英文法・語法

例文以外に各章の要点の部分も映像で確認することができます。

整序問題も含まれていて、解説の部分も手厚くておすすめの一冊です。各テーマで覚えておきたい知識も「Power Up!」としてまとめられています。語彙やイデオムの問題も取り組みましょう。問題文の音声もダウンロードできるので一度すべて正解するようになったら、隙間時間のメンテナンスとして音声も利用できます。

7. 対策

ここからは過去問の後に必要だと思う場合に取り組むとよいです。

英文解釈

もし志望校の過去問で単語の意味はわかるのに文として何を言っているかわらかないとなった場合、次のような書籍で構造の難しい文を理解する練習をしてみてください。

英文法・語法と整序問題

文法・語法の問題集をもう一冊行うなら以下のものがよいです。

定番の「頻出英文法・語法問題 1000」の河合塾版 (2022年8月に発売)です。違いは次のような感じです。

  • 篠田先生ではなく島田先生 (瓜生先生は同じ)
  • 2005年以降の傾向が含まれている
  • 英語の問題文に音声がある
  • 演習問題として4択問題がさらに追加されている

分野ごとに総合英語を読んでから問題を解いて、すべての問題が一度解けるようにします。

和文英訳の文法・語法

英作文の文法的な点をさらに演習したい場合は、次のような書籍があります。

自由英作文

自由英作文のテーマ演習を追加したい場合は以下の書籍があります。

英単語の網羅異性

14,000語まで重複なく確認できます。速読速聴の Advanced 1100 まで終わっていれば、Vol 3 まではほぼ網羅できていると思います。

  • 究極の英単語 Vol. 1 (1 - 3,000)
  • 究極の英単語 Vol. 2 (3,001 - 6,000)
  • 究極の英単語 Vol. 3 (6,001 - 9000)
  • 究極の英単語 Vol. 4 (9,001 - 12000)
  • 究極の英単語 プレミアム 1 (1000)
  • 究極の英単語 プレミアム 2 (1000)

英英辞典

はるか昔、今ほど単語帳が充実していない時代は、教科書の次は辞書でした。現在はここまで辿り着く人はなかなかいないと思いますが、語彙力を高めるための最終手段は英英辞典の使用です。

OALD (Oxford Advanced Learner's Dictionary) というアプリで音声での確認や検索もできます。

まとめ

ここで紹介した内容は、何度もいろいろな場面で出会うことによって自然に知識として定着することを利用した方法です。まずはじめに最も使用頻度の高い事柄を以下の4つで理解すればあと語彙や表現に集中できます。

  • 発音記号 45 種類
  • フォニックスの 100 パターン
  • 総合英語 FACTBOOK の 815 例文を語順を理解
  • Jump Start 「6 音の変化」

英文はその時紹介されている見出し語以外の単語も含まれています。それらは以前に出会った単語がほとんです。出会った時にはあいまいでも、何度も出会うことによって自然に定着していきます。初めての出会いで完璧にするために時間を費やす必要はないです。

自分のレベルがわからない場合は、中学1年レベルの英語から始めましょう。自分のレベルに到達するまではサクサク進むため、時間をイタズラに浪費することはないです。

注意点が一つあります。

音声を中心に利用していると、文を構成する単語を隅々まで認識できていないのに、英文を理解できた気になる場合があります。これは日本語の意味がわかっていると、強く発音された単語のみで内容が理解できた気になることによります。このようなままだと、初見の英文は聞き取れないということに遭遇します。これらを避けるために速読英熟語までは、

  • 英文のディクテーション

で単語の細部まで認識できているかどうかを確認するのがよいです。これらは英作文にも非常に効果があります。

「6. 網羅性の確認」まで終了していれば、どの大学の過去問でも演習に入れます。