はじめに
化学には法則と計算で解答する数学的な部分と暗記した知識をベースに回答する社会科目的な部分が共存しています。途中で意識の切り替えをしないとつまずいてしまう科目です。
教科書準拠の問題集を含めた典型的な流れとしては次のようなものがあります。
- 教科書
- セミナー化学基礎・化学
- 化学の重要問題集
- 化学の新演習
- 過去問
「セミナー化学基礎・化学」のような学校で配布される教科書準拠の問題集を使用すれば定期テストの対策にもなり、終了すればその後に一冊入試問題形式の問題集を経て東大でも「東大 27カ年」のような過去問に入れます。
いろいろな面でこれらの問題集が合わない場合でも、代わりの参考書や問題集はいろいろあります。自分の合うものを本屋で見て選んでください。
1. 教科書
教科書を理解する。これが第一歩です。
高校の教科書を読んでもわからない場合は、まずは中学の化学が理解できるかを確認しましょう。理解できていない場合はわかりやすい高校の参考書より一度中学理科第1分野 (化学)の内容に戻る方が効果的です。
中学の化学の内容から体系的に書かれているものとしては次のような書籍があります。
教科書より行間に余裕があり読みやすいです。
教科書を持っていない場合
教科書をもっていない人にも「化学の新体系」はおすすめです。
また次の「セミナー化学基礎・化学」の「まとめ」のところで紹介している照井式解法カードの 論化学 / 無機化学 / 有機化学 も使用できます。照井式は化学基礎から始まって難関大に必要な知識までを網羅しています。
教科書の内容の整理やまとめなどの補助的な部分のみで大丈夫であれば、次の「セミナー化学基礎・化学」の「まとめ」のところで紹介している大学受験 Do シリーズの 理論化学 / 無機化学 / 有機化学 もあります。
2. セミナー化学基礎・化学
教科書が第一学習社の場合、同じ出版社のセミナー化学基礎・化学を教科書準拠問題集として使用している場合が多いと思います。基礎知識定着の確認から実際の入試問題で問われる内容までインプットとアウトプットに使用できます。学校で解答と共に配布されている場合は是非一度トライしてみてください。「エクセル化学 総合版」でも同様です。
解説やレイアウトが合わない人は、レベル別に次のようなもので置き換えることもできます。
「まとめ」と「セルフチェックシート」
両シリーズとも暗記すべき事項をまとめた冊子が付属しています。同じように暗記すべき部分が整理できます。
「プロセス / ドリル」 (183問)
教科書の知識の定着のためのアウトプットの部分です。代わりに使用できる例としては次のような参考書があります。
この2冊は2019年に改訂されていて、著者の中道先生は「化学の良問問題集」の著者でもあります。
こちらは問題精講シリーズの共著である橋爪先生が著者です。
「基本例題・問題」「発展例題・問題」 (641問 - 62問, 352問, 47問, 180問)
知識が問題としてどのように問われるかを確認する部分です。「例題」をインプット、「問題」をアウトプットとして使用できます。ここができれば河合の全統模試で偏差値60に届きます。セミナーの問題の解答が難しく感じてなかなか進まない人には次のようなものもオススメです
- 旺文社 入門問題精講 / 基礎問題精講 (253問 - 142問 / 111問)
- 学研プラス 照井式問題集
理論化学 計算問題の解き方 / 無機化学 知識の押さえ方 / 有機化学 問題文の読み方 - 三省堂 化学の新標準演習 (569問)
「実践問題・総合問題」 (103問 - 63問, 40問)
難関大の問題に対応する部分です。
- 旺文社 標準問題精講 (106問)
Do シリーズの鎌田先生が著者に含まれています。問題数はほとんど同じですが、問題の難易度はセミナーよりこちらの方が少し上ですが解説はこのレベルの書籍の中では非常に丁寧になっています。
「論述問題」 (101題)
自身の志望校で論述問題が出題される場合は行いましょう。論述問題は読み物として問題と解答を読むと知識の整理にも役立ちます。代わりに利用するなら次のようなものもあります。
- 駿台文庫 化学記述・論述問題の完全対策
3. 化学の重要問題集 (275問)
アウトプットとして使用する問題集です。問題形式もいろいろなものが含まれています。アウトプットは、特に無機や有機の暗記した内容を記憶に定着させるための重要なステップです。
東大などのXXヵ年みたいな分野別になった志望大学の過去問がある場合にはそちらを優先にすることもできます。
こちらも解答やレイアウトが合わない人は次の問題集もあります。
- 旺文社 化学の良問問題集 (341問)
重要問題集より少し下のレベルから問題が始まるため問題数が多くなっています。到達点は同じです。著者は書き込みサブノートと同じ中道先生です。
4. 化学の新演習 (331問)
重要問題集より難易度の高い問題も含まれています。ここからは難関大学で合格平均点以上を狙う人のためのオプションです。重要問題集や良問問題集、過去問の完成度の方を優先してください。他に難しいものとしては次のようなものもあります。
- 駿台文庫 新理系の化学問題100選 (111問)
- 学研プラス 鎌田の解き抜く化学 理論化学・無機化学1編 / 無機化学2・有機化学編
実際の入試問題が省略せずに載っています。
この辺りはお互いに問題の被りがないので時間がある人は新演習の後にこの順で全部行っても良いです。
化学の新研究
問題の解説でわからない部分を調べる辞書的な役割です。「照井式解法カード」でも大丈夫です。また次のようなものもあります。
- 駿台文庫 新理系の化学 上 / 下
まとめ
教科書と併用する通常のインプットルートが次のようにだとすると
- セミナー化学基礎・化学
鎌田先生 / 橋爪先生でそろえるなら
- 大学受験 Do シリーズ
- ジャンプアップノート
- 入門問題精講
- 基礎問題精講
- 標準問題精講
です。Do シリーズの暗記用の冊子は必ず行いましょう。基礎問題精講と標準問題精講の間には少しレベル差がありますが解説が丁寧なので理解できると思います。精講シリーズは問題数としては少ないですが、解説や精講の部分にその周辺知識が紹介されています。そちらも活用して網羅度を上げましょう。
卜部先生なら
- 化学の新標準演習
です。教科書を使用しないなら照井先生ですかね。
- 照井式解法カード
- 照井式問題集
問題数で比較すると
- セミナー > 卜部先生 > 鎌田先生 + 橋爪先生 > 照井先生
です。
このあとアウトプットとして「重要問題集」や「良問問題集」が使用できます。また東大や東工大でもこの後は過去問を使用したアウトプットに入れます。
もし論述の問題集を行う場合はまずは読み物として理解するところから始めましょう。過去問を完了してさらに演習したい場合は「化学の新演習」や「新理系の化学問題 100選」「鎌田の解き抜く化学」もあります。
また特定分野を鍛えるのであれば次のようなものもあります。
理論の計算の理解を深めたい場合に取り組んでみてください。著者は「新理系の化学問題100選」と同じ石川先生です。
有機の構造決定は特に浪人生と差がつく部分です。しっかり演習したい場合は、取り組んでみてください。インプットが終了した後であれば使用できます。