参考書でDIY

参考書や問題集を使用した大学受験の独学をサポート

数学を極める

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はじめに

数学は、理系にとって最も優先すべき科目ですが、文転しても有利に使用できる大学がたくさんあります。数学で高偏差値に到達している人の内容を紹介します。学校配布の書籍や市販の参考書だけで高偏差値に到達することができます。

難関大学の問題のレベルを知る

東京出版の「大学への数学」の 4月号と5月号にその年の東大、京大、早稲田、慶應などの難関大学で出題された問題に対する解答と解説が特集されています。そこには東京出版基準で問題の難易度レベル (A から D) も提示されています。特集の内容を3年分ぐらい比較するとわかると思いますが、難関大を目指す人にとっては Bレベルがスラスラ解けないと合格は厳しいです。

東京出版の問題集では次のような問題集がそれぞれ該当します。

Aレベル

  • 3月増刊 入試数学の基礎徹底
  • 数学IIIの入試基礎
  • 1対1対応の演習の例題

Bレベル

  • 1対1対応の演習の演習題
  • 4月増刊 新数学スタンダード演習
  • 5月増刊 数学IIIスタンダード演習

C/Dレベル

  • 9月増刊 新数学演習

高校3年生の増刊号の発売時期にそのレベルの演習が開始できるように高校1, 2年の学習計画を立てるとよいです。

高校2年の模試で偏差値 80 を超える人

高校2年生で塾などへ行かずに進研模試の偏差値 80、河合の記述模試の偏差値 70 を超えている人が使用している書籍は、学校で配布される次のような3つです。

  1. 教科書
  2. 教科書傍用問題集
  3. 網羅系参考書

使用のペースとしては次のような感じです。

  • 定期テスト範囲 - 教科書と教科書傍用問題集
  • 夏,冬,春の長期休みの宿題 - 網羅系参考書の例題

具体的に数研出版の書籍で例えるなら次のような感じです。

  1. 教科書 - 数学シリーズ
  2. 4 STEP
  3. 青チャート

教科書 数学シリーズと 4STEP が網羅するレベルの範囲と青チャートの例題が網羅するレベルの範囲は同じで (数研出版の対応表)、学校で使用する範囲は次のようです。

  • インプット
    教科書 - 例, 例題, 応用例題, 研究, 発展
    4STEP - 例題
  • アウトプット (1回目)
    教科書 - 問, 練習, 問題, 演習問題
    4STEP - 問題
  • アウトプット (2回目)
    青チャート - 例題

定期テストに対して教科書と4STEPでインプットと1回目のアウトプットを行い入試標準問題まで一度到達します。

次に、夏、冬、春の長期休みに定期テスト2回分の教科書と教科書傍用問題集の範囲を青チャートの例題で2回目のアウトプット(復習)します。青チャートの例題は本来インプットの役割ですが、教科書傍用問題集でしっかり演習していると、解説の詳しい問題でアウトプットするような使い方ができます。

教科書傍用問題集まで解けるようになっていると青チャートの例題の中で75%以上を占める基本例題はほとんど解けます。

これによって

  • インプット ⇨ アウトプット(1回目) ⇨ アウトプット(2回目)

というサイクルで繰り返し問題を解くために必要な思考力、判断力、表現力のための基本知識が蓄積されます。例題で間違えた問題はその下にある練習も解いて理解の確認をします。

3回目のアウトプット

青チャートの例題は、80%以上がコンパス2とコンパス3で、コンパス3が入試基礎レベルです。フォーカス・ゴールドやニューアクションレジェンドもこの点は変わりません。

難関大の入試の中心はコンパス4やコンパス5レベルです。例題だけを使用している場合はこのレベルの知識と演習量が不足してしまいます。ここで「1対1対応の演習」の演習題を追加すると、コンパス3レベルの「1対1対応の演習」の例題で入試に必要な知識の整理と追加ができ、コンパスレベル 4 や 5 の演習題で知識を定着させるための演習が確保できます。

新課程の場合は、三訂版を使用しましょう。

ここまでのまとめ

必要な書籍は次のようです。

  • 教科書
  • 教科書傍用問題集
  • 網羅系参考書の例題と練習
  • 1対1対応の演習

高校3年になる前に全範囲でここまで終了していると順調です。入試用の演習問題や志望大学の過去問の解答も理解できるようになっています。網羅系参考書の例題以外は時間が許す限り取り組むとよいです。演習量を積むほど数学の能力は伸びます。

逆に途中で一冊でも飛ばすと次の参考書や問題集でつまずきやすくなるので注意してください。

高校3年の7月まで

次のような入試基礎レベルと入試標準レベルの問題演習を追加して入試の準備をします。

  • 入試基礎問題集で全範囲を短期間に確認
  • 入試標準問題集で演習量を確保

ここで重要なのは入試基礎、入試標準、それぞれのレベルに絞った問題集を段階的に使用することです。

入試基礎問題の問題集

短期間で全範囲を一度確認するために、I+A+II+B の範囲が一冊でまとめられている次のような入試基礎に絞った問題集を使用します。III の範囲は理系に向けて別冊になっています。

  • 河合出版 文系の数学 重要事項完全習得編 (例題152問 / 演習問題120問)
  • 河合出版 数学III 重要事項完全習得編 (例題100問 / 演習問題111問)

「文系の」となっていますが、II+B までの内容が含まれているという意味で、理系も利用できます。高校2年の春休みに1周して解ける問題と解けない問題の仕分けができていれば順調です。

4月中に例題を1周して解ける問題と解けない問題の仕分けができていれば順調です。

入試標準問題の問題集

次のような I+A+II+B の範囲が一冊でまとめられている入試標準に絞った問題集を使用して演習量を確保します。III の範囲は理系に向けて別冊になっています。

  • 東京出版 新数学スタンダード演習 (4月増刊号) (294問)
  • 東京出版 数学IIIスタンダード演習 (5月増刊号) (135問)

1対1対応の演習が演習題まで解けるようになっていれば50%ぐらいは解けます。

3月末に発売されます。4月1日から取りかかり、ゴールデンウィーク終了までに1周して解ける問題と解けない問題の仕分けができていれば順調です。

4月末に発売されます。ゴールデンウィーク明けから取りかかり、6月末までに1周して解ける問題と解けない問題の仕分けができていれば順調です。

終了の時期

遅くとも夏休みが始まる前までに間違えた問題を正解するまで繰り返し解いて、一度すべての問題を解けるようにします。ここまでで大学入試での標準問題に対する適用能力が身につきます。

高校3年の夏休み

難関大で頻出の問題に対して解説が丁寧な次のような参考書を使用して対応を強化します。

  • マセマ出版 難関大 文系・理系数学 I・A II・B (79問)
    マセマ出版 難関大 理系数学  I・A II・B III (74問)

次に紹介する問題集は、志望大学の人には必須ですが、志望大学以外の人も夏休みの時間が許せば行ってみましょう。

記述問題で部分点を確実に取るために、次の書籍を追加します。東大で確実に正答すべき入試標準レベルの問題で紹介されています。東大を志望する受験生以外の記述対策にもお勧めです。

  • 東京出版 東大数学で1点でも多く取る方法 文系編
    東京出版 東大数学で1点でも多く取る方法 理系編

さらに難関大頻出の問題を追加したい場合は次の一冊 (文系) または二冊 (理系) を追加します。こちらも京大や阪大を志望する受験生以外にもお勧めです。

  • KADOKAWA 世界一わかりやすい 阪大の理系数学 合格講座
  • KADOKAWA 世界一わかりやすい 京大の文系数学 合格講座
  • KADOKAWA 世界一わかりやすい 京大の理系数学 合格講座

これらの問題集はどれも1冊100問以下です。

高校3年の9月から

理系は入試発展問題へ、文系は苦手分野の強化します。

入試発展問題の問題集

理系は、標準レベルの問題を見極めて確実に完答するためにも、次のような入試発展の問題集にも触れておきます。

  • 東京出版 新数学演習 (9月増刊号) (226問)

8月末に発売されます。「新数学スタンダード演習」と「数学IIIスタンダード演習」が完了していれば、50%ぐらいは解けます。11月末までには一度すべての問題を解けるようにします。

さらなる高みへ

理系で「新数学演習」が10月末までに一度全問解けるようになっているなら、次のような問題集で試行錯誤をして解答にたどり着くための脳をさらに鍛えています。ここは、東大や東工大の数学で9割以上を狙うためのものなので、他の教科で遅れているものがあれば、そちらを優先させましょう。

  • 数研出版 チャート式 数学難問集100
  • 月刊 大学への数学」の「学力コンテスト」
  • パーフェクトマスター めざせ数学オリンピック

学校配布の受験用問題集

例としては次のようなものがあります。

(注意) 同じ名前で教科書傍用問題集もあります。

入試基礎から入試発展まで幅広くカバーされています。演習の授業で使用している場合は、冬休み前まで使用する場合が多いです。別冊の解説・解答が配布されていない場合は、授業の中での演習や定期テスト対策として割り切って使用しましょう。

共通テストの対策

11月後半から12月前半に塾が実施するプレテストを2回受けて、かつ共通テストの過去問を制限時間ありで解いてみます。すべて90点以上がとれるのであれば特別な対策をする必要性はないです。また80点前後であれば、旧センターの問題は90点は取れます。センターの過去問に戻るのではなく、

  • Z会の実践模試や予想問題パック

を追加して共通テスト出題形式や時間配分に慣れましょう。その後は二次の対策で応用力を養った方が点数は安定します。

志望大学の過去問の開始時期

もしここで紹介した予定通りに進められれば、夏休みに過去問に取り組めます。出題内容や自身の弱点を早めに知るためにも、少なくとも9月末までに1年分は解き傾向を確認しておくとよいです。

最後の〆の学習

教科書に含まれている公式の証明はできるようにしておきましょう。そのまま問題として出題されている場合があります。

まとめ

教科書、教科書傍用問題集、網羅系参考書および1対1対応の演習を高校3になる前に全範囲を仕上げておくとかなりのアドバンテージとなります。また学校から配布されている書籍が使いづらい場合は、何が課題かをはっきりさせてその課題を解決する別の選択肢を使いましょう。

書籍の選択肢に関しては「数学 参考書・問題集の選択」を参考にしてください。

高校3年から数学IIIが始まる場合

高校2年生の春休みに I+A と II+Bの入試基礎と入試標準の問題集を一度解けるようにしておきます。また高校3年生から始まる数学IIIは自身で夏休み前に数学III の教科書と網羅系の参考書の例題でインプットは終了するようにしましょう。